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前回までは、「男性の無意識に存在する女性性」=アニマについて書いてきましたが、今日からは「女性の無意識に存在する男性性」であるアニムスについて書こうと思います。

ユング心理学研究で有名な、河合隼雄先生も、山中康裕先生も、共に口を揃えて言われているのは、「女性が自身のアニムスを受け入れることは、男性がアニマを取り入れるよりも困難な道のりである」ということです。

それは、なぜでしょう?




河合隼雄先生はこのように言われています。
一般の男性は、女性がアニムスに目覚めることを好まない。実際、女性のなかにはアニムスにまったく気づかなかったり、完全に抑圧したりしているひとがあり、これらの女性は個性がないという点において、男性のアニマの投影を受けるのに最適であり、この意味において多くの男性から愛されたり、ちやほやされたりする。このような女性は、ほかの女性から見れば、個性がなくて頼りない、どこがいいのかわからぬ女性に見え、それが男性の間に人気が高いのが不可解に思えるものである。同性から見るとつまらないひとが異性にもてたりする秘密は、このような点にも存在している。



山中先生はこの点をもう少し砕いて、分かりやすく説明されています。
アニムスを受け入れて、こころの成長に目覚めた女性は、男性の目には自分以上の立派な人間として映り、御しづらい存在となります。これは男性にとっては面白くないことです。反対に、アニムスに気づかず、女としての意識だけしかない女性は、男性には扱いやすい存在となり、かわいがられます。特に美人でもなければ仕事ができるわけでもないのに、なぜか職場の男性からちやほやされる女性などは、こういったタイプが多いようです。



両者のご意見ともなかなか辛口の点もありますが、でもそれは、先生方のお立場であればこそ公言できた真実なのでしょう。

一昔前に比べ、男女同権が日本でもあちらこちらで叫ばれるようになり、実際様々な場で、女性の地位向上は確実に見られるようになってきました。
そして逆に、男性が(女性的な役割であった)家事や育児に参加したり、女性的な仕事とされていたことに従事することも多く見受けられるようになってきました。


しかし、一見受け入れられているように思われる女性の(職場等での)地位向上に、心の内側では「・・・?」と思われている男性も、まだまだ少なからずいると私も感じたことが、近い過去に何度かあったのも事実です。
そして他にも、例えば共働き家庭に至っては、妻である女性に、(仕事+)家事・育児の負担が大きくのしかかっていることは、昨今のデータでも明らかにされています。

このように目に見える外的状況はもちろんのこと、自分でも気づきにくい内的な状態も含めると、女性が自身の内に存在している「アニムス」を肯定的に取り入れていくことには、相当な困難がつきまとうようです。
もちろん、男性における「アニマ」の問題も一筋縄ではいかないことのようです。



河合先生はこのようにも述べられています。
人間の幸福ということを単純に考えるならば、女性としてはアニムスの問題などに気づかぬほうが、はるかに幸福といえるだろう。



ジェンダーフリーの問題を始め、男女の性差については現代でも大きなテーマですが、深層心理学的にはやはり、自身の異性を無視しては、こころの成長は図れないのです。
たとえそれが「いばらの道」だとしても・・・。


ここで、山中先生の“女性へのエール”の言葉を。
自立の道を歩む女性にとっては、何かと不公平がつきまといますが、「艱難汝を玉にす(苦労や困難を堪えてこそ立派な人間になれる)」ともいいますし、負けずに頑張ってもらいたいものです


自身の「アニムス」に気づいてしまった女性において、そこから逃げることは、多分、自分自身が許容できなくなっているのではないでしょうか。
そうであれば、先の人生を豊かにしていくために、何より「アニムス」の逆襲から逃れるためにも、真正面からその課題に向き合っていくほうが得策であると思われます。


次回は、「アニムス」がどんな作用を女性に及ぼすのかについて、もう少し詳しく触れていこうと思います。

                    
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