
Blue butterfly kite./Jack Wolf
私は以前、あるカウンセリングルームで勤めていたことがあります。
そこでの出来事ですが、あるクライエントさんが、ルームに初めて電話をしてこられました。
そして、電話応対をしたスタッフから、
「かなりお気持ちが乱れていて、受話器の向こうでも泣かれていました。」
との報告を受けました。
その後、実際にお会いしてカウンセリングを始めたのですが、部屋に足を踏み入れた途端、
涙があふれて止まらないといったご様子で、
「ここに来るまで、どれだけ辛いものを抑えておられたんだろう」
と、私も胸の詰まる思いがしました。
お話を始めてからも、涙と一緒に抑えていたものが言葉になって、次から次へと出てきました。
そして、当初の予定だった50分を90分に延長され、その間、私はただうなずくしかできないといった
感じで、その方のお話は途切れることなく続きました。
それから90分を経過しても、まだ話足りないご様子でしたが、一応その日のカウンセリングは
終了となり、最後にそのクライエントさんはこうポツリと言われました。
「話すって、とても大事なんですね。今日、つくづく感じました・・・。」 と。
私が、 「そうですね。話すだけでも少し心が軽くなりますよね。」
と答えると、大きくうなずかれていました。
セッションを始めてすぐは、とにかく感情が溢れ出て、
それがそのまま言葉になって飛び出してきているといった感じでしたが、
90分話し続けた終盤には、 「うーん、それは・・・」 といった感じで、自己洞察に入られ、
「もしかしたら○○なのかもしれない・・・」 と、何かに気づいたご様子でした。
カウンセリングの進み方は、一つといって同じものはないというほど千差万別なので、
この方のように、初回から「洞察」に入られる方ばかりとは限りません。
しかし何より、「話すこと」。これが大事。これが心を軽くしていくのです。
カウンセリングの場でよく使われる言葉ですが、「話すこと」は「放すこと」といいます。
「話すだけ」でも、それが心を軽くしていく。 『カタルシス効果』があるんですね。
『カタルシス効果』については、また詳しく取り上げたいと思いますが、
このクライエントさんを始め、1回のセッション内でも、お部屋に入ってこられた時と、
出ていかれる時とでは、明らかに表情が変わっておられる方がいらっしゃいます。
話すことで、自分の内にあったものを外へ出し、そうすることによって、
こわばっていた気持ちがどこか解きほぐれたとき、それが何なのか、
例えはっきりと説明のできないものであったとしても、
(無意識内の何かであった場合こそ、簡単に言語化なんてできないわけです)
間違いなくそこに「変化」はあったはずなんですね。
それは、“すっきり”とか“軽い”というような、感覚として感じられるものだとも思います。
このように、見えない部分で変化が起こってくるからこそ、カウンセリングの場で、
「ただ話しているだけ」でも、そこに意味はきちんとあるわけです。
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ただし、「変化」は軽くなるばかりではありません。
カウンセリングプロセスの中では、逆に重く感じられる場面も出てきます。
「カウンセリングに行ったのに、何だか逆にしんどくなった」というとき、
それは何か新たな塊、若しくは山に出会っているときなのかもしれません。
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精神科医「斎藤学」先生(家族機能研究所代表)によるIFFのツイッターでも、
ちょうど話すことによる有効性についてツイートされていました。
「自然な会話をし、そっとそばにいることの力は計り知れないものだと思います。 」
とも書かれています。合わせてご覧ください。

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