ユング心理学の概念のひとつに、
「コンステレーション(布置)」
と呼ばれているものがあります。
これは、
「一つ一つの事柄や状況が、それだけでは何の関係も意味もなしていないようであっても、あるとき、それらが一つのまとまりとして、全体的な意味を示してくる、
それに気づくことができるようになる。」
というものです。
例えば、夜空に光る星たち。
個々の星は、それ自体、「恒星」という意味しかないようでも、
それを広い視野で全体として見た場合、
「星座」という意味ある形を作り上げています。
これが「コンステレーション」です。
(英語のconstellationの意味は星座です)
また、ユング派分析家であられた河合隼雄先生は、このようにも説明しています。
「私の専門のユング心理学では,心の中の状況と外的に起こることがうまく合致して,全体として何かが星座のようにまとまることをコンステレーションと呼んで,大切に考えている。」
私自身の話では、初めて、ユング派のセッションを受け、自分自身の様々な経験について語った時に、この言葉を教えていただきました。
そして、過去の辛かったり苦しかったりした経験も全て、今の私にたどり着くための、「コンステレーション」だったのだと、初めて思うことができました。
一見、受け入れがたいと思われるような出来事や、思いもかけないハプニングなどで混乱したとき、その渦中にいる間は、そのことにしか意識が向かず、悩んだり迷ったりするのが人間というものだと思いますが、その「辛い出来事」は、より良い未来に向けての、「きっかけ」に過ぎないのかもしれないのです。
後になって、振り返ってみると、「全体」が見えてきます。
そして、
「あー、あの経験は、自分の成長にとって欠かすことのできない、大切なものだったんだ。」
と、やっと気づけるようになります。
少なくとも、私の場合はそうでした・・・。
ユングは、死すら覚悟した大病を乗り越えた後に、このように言っています。
「存在するものにヤ―(yes)ということ。あるがままに対して無条件にヤーと いうことを学んだ」
「自分の運命にヤー ということがどれほど大切かを初めて理解した」
自分に起こる全ての出来事に、あるがままに「yes」ということ。
様々な宗教でも、この考えは共通して、広く説かれていると思いますが、ユング心理学でも同じく大切な考え方の一つです。
運命に全てを委ねるということは、実際にはそれほど簡単なことではありませんが、
でもそういう意識を持てるようになれば、結局は自分自身が楽になれるような気がします。
「コンステレーション」
何かにつまずいた時に思い出してみると、希望と勇気がわいてくるかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2)
コメントありがとうございます。
コンステレーションという視座は、物事への捉え方と共に心の持ちようにも広がりを与えてくれます。
そしてそれは、「ゆとり」にも繋がるのだと思います。