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    (我が家の『千の顔をもつ英雄』)


約一年ぶりに記事を更新しようと、ここ数日、合間をみて少しずつ書き進めていました。
きっかけは今回も、毎度恒例の NHK Eテレの『100分de名著』。
来週から始まる7月分放送で取り上げられる、神話学者ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』についてです。
この著作も長年愛読していた一冊だったので、ぜひブログに記したいと思ったのです。



そして、同時期にネット注文した『100分de名著 千の顔をもつ英雄』のテキストが、先日届きました。

今朝、少し目を通してみようとページを開いたところ、「はじめに」の部分に“ユング”の名が記されていました。

私が『千の顔をもつ英雄』を読み始めた動機もまさに”ユング心理学”で、そのことがあってブログに記そうと書いていたところだったので、当然のように気分は高揚しました。
それで今、まずは番組紹介の記事を挙げようと、急遽予定変更で一本先に追加することにしました。



早速、指南役でありテキスト著者の佐宗邦威さんの、ユングへの言及部分をご紹介します。
C・G・ユングの心理学の影響を強く受けていたキャンベルは、人の夢に代表される無意識の中には、共通する「原型」があると考えていました。
その共通パターンには、民族や宗教を超える普遍性があり、固有の文化を背景に成立している「神話」という物語群もまた、同様にある共通のパターンを内包しているということを、世界中の膨大な神話の比較研究を通して分析しました。

さらに、佐宗さんも「ユングが好き」とのことで、番組視聴前からいつにも増してワクワクが高まります。
私自身、学生の頃からユングが好きでその著作をよく読んでいたこともあり、キャンベルの理論を興味深く受け止め、「物語を作るための方法論がある」ということに大いに惹かれました。
大いに共感です。




7月放送『100分de名著 千の顔をもつ英雄』が、ユング心理学に関心がある方にお勧めであることに、もう説明は要らないと思います。
私も、とても楽しみです。





【雑感】

数年前にユング心理学会の講座を受講した際、講師の先生が、「現在、ユング心理学を学ぼうとする人は希少で、危機までとは言わずとも、ユング心理学を取り巻く環境はなかなか厳しい」というようなことを言っておられ、個人的には、これほど強く興味を惹かれる学問はないとユングに傾倒している身として、「でも、アカデミズムの世界ではそうなのかな…」などと、いくばくかの寂しさを感じていました。

しかし、この度の佐宗さんの「ユングが好き」という言葉と次に引用する内容に、ユング心理学の多様な意味での可能性の広がりを感じて、明るい気持ちになりました。
この(英雄神話)理論は、現在に至るまで映画や小説といった「物語」のクリエイタ―に幅広く影響を与えたと言われています。

もちろん「英雄神話理論」は、あくまでもキャンベルについての説明ですが、そのキャンベルがユングから強い影響を受けていたわけですから、「英雄神話理論」にユング心理学のエッセンスが散りばめられていることは否定できない事実です。
(原作を読めば理解が深まります)

そして、ユング理論が現在もなお様々なクリエイターに、英雄元型だけに限らずもっと多岐に、インスピレーションを作品に繋げる示唆を与えているのだと、映画や小説や漫画などの中にそれを見い出せる度に、私は実感できるのです。


【引用文献】
佐宗邦威キャンベル『千の顔をもつ英雄』 7月 (NHKテキスト)』 ‎ NHK出版 (2024/6/25)