
(植え替えの時にこぼれ落ちた花。玄関を彩ってくれました。)
春から少しずつ進めていた、
庭の植木鉢と花壇の花の植え替えがひと段落しました。
ガーデニングには以前から興味を持っていたものの、
今までなかなか“植物育て”にまでは手が回っていませんでしたし、
気分的にもそんなゆとりを持てずにいました。
「それより他にやるべきこと」が常にありました。
“庭いじりなんて”あくまでも余暇にすべきことだと、実質的なことだけではなく、
私自身が手放せていないもの、作り上げてしまっていたことによっても、
やるべきリストの優先順位の後ろに追いやってしまっていました。
今も気が向いたときに、思いたったように始める程度で、まだまだ知識も技術も
浅い初心者なのですが、でも、大分“手放せる”ようになったのか、
「土に触れたいな」と感じたときには、その気持ちを諸々の理由づけで抑える
のではなく、何だか自然に、帽子を被り軍手をはめて庭に出ている私がいます。
さて、そんなゆるーいガーデンニングなので、
いざやろうと思うと実際には、毎度、準備不足を痛感させられます。
生きている草花を相手に、こちらの都合だけで完璧に事を進められるわけもなく、
この春は、適切な時期に土づくりをしていなかったことを悔やむ羽目になりました。
今年は、“とりあえず”で何とか凌ぐことにしましたが、
来年は前もってきちんと準備しようと、土づくり専門のガイド本を購入しました。

よくわかる土・肥料・鉢 (別冊NHK趣味の園芸)
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さて、届いた本の表紙をあけてみると、
サブタイトルとして次の言葉が書かれてありました。
植物が生き生きと育つための鍵、
それは、土・肥料・鉢をよく知ることにあります。
また本文には、次の文章が続いていました。
水を与えていても、肥料を施していても、それでも枯れたり、
花が咲かなかったり、思うように育たないことを、
やはり多くの方が経験していることと思います。
その原因はいろいろとありますが、(中略)
土・肥料・鉢に根本的な問題がある場合が多々あります。
また、土・肥料・鉢に関する知識の不足から、
管理・作業が適切さに欠けたことが原因となる場合も多いものです。
わたしたちが、とかく植物の見える部分ばかりに目がいき、
ふだん見えない土の中がどうなっているのか
意外に気にかけないことが多いせいでもあるでしょう。
まるで、私たち人間の「こころ」に、そのまま当てはめられるような気がして、
つぎのページをめくる手が止まってしまいました。
美しい花を咲かせたいと思い、土の外から色々とやってみても、
思うように育たないことが多い植物。
それは、「ふだん見えない土の中がどうなっているか」
気にかけていないことが原因かもしれない。
深層心理学的には、あまりにも象徴的な表現だと感じずにはいられませんでした。
以前の記事でもご紹介しましたが、夢やイメージに出てくる“地下”は、
“無意識世界”を表すものとしてしばしば登場します。
無意識の象徴として“水”が現われるのと同じくらい、“地下”もよく出てきます。
これは、多くの人に共通するイメージであることがユングによって指摘されて
いますし、私の夢にも色んな形で地下が出てきていて、その分析の流れからも、
ユングの説の妥当性は確信できます。
現実の庭でキレイで丈夫な花を咲かせるためには、
「土・肥料・鉢をよく知る」必要があります。
「水を与えていても、肥料を施していても、それでも枯れたり、
花が咲かなかったり、」するのは、
「土・肥料・鉢に根本的な問題がある場合が多々」あるからです。
人のこころの、見える世界(意識)と見えない世界(無意識)の関係にも、
これと同じことが言えるのではないでしょうか。
意識の私で、
「こうなりたい(育ちたい、咲きたい)」といくら望んでいても、
土の中(無意識)の状態を全く度外視しているようでは、
思うようにならなくてある意味当然なのかもしれません。
ユング心理学では、意識の基盤には無意識があるとされています。
見える草花の下には見えない土の世界が常に存在しているように、
私たちの知っている意識世界の下には、無意識の世界が広がっているのです。
植物が思うように育ってくれない原因が、
「とかく植物の見える部分ばかりに目がいき、ふだん見えない土の中が
どうなっているのか意外に気にかけないことが多いせいで」あるように、
意識の“知っている私”だけでどれだけ色々とやってみようと、
「どうしても思うようにならない、変われない、良い状態にならない」
自分の状態があるとき、その原因は、無意識が握っている可能性が十分に
考えられるのではないでしょうか。
さて、庭仕事に話を戻しますと、ガーデニング初心者ながら、植物を健康に育て、
キレイな花を長く咲かせるためには、適切な時期にきちんと、地道な土づくりに
エネルギーを注がなければならないことが分かってきました。
土を掘り起こしてみると、日頃ほとんど目にすることのない虫たちにも出会います。
それらは大抵、ミミズや芋虫などの地味で気持ちの悪い生きもので(少なくとも
私にとっては・・・)、以前は何も考えず、脇に除けてしまっていたこともありました。
でも、土の状態を気にし始めたときからは、ミミズは良い土づくりには欠かせない
有り難い存在だし、様々な芋虫たちだって、いつかは外に出て自由に動き回れる
ようになるための大切な準備期間として、こうして暗い土の中で今は地味に
目立たずに生きているんだと思えるようになり、彼らをむやみに排除することは
なくなりました。
(でも、まだ触れませんが・・・)
そして、良い土づくりの適切な時期は「冬」だということも知りました。
寒い時期にしっかりと地味な作業にエネルギーを注いでおくことで、
春を迎えたとき、美しい花を長くたくさん咲かせることができるわけです。
一生懸命、良い土づくりをしても、冬に咲かせられる花の種類は限られています。
自然のサイクルを、人間が支配しコントロールすることなんてできませんから、
多くの花を愛でるには、春が来るのを待つしかありません。
こころの世界でも、いくら内面に目を向けたからといって、なかなか目に見える
変化は得られないかもしれない。
寒さに耐えながら、じっくりと土づくりをする時期は必要なのかもしれません。
でも明らかに、その見えない部分では培養が始まっているのですから、
外的に芽吹く時が来れば、自ずとその芽は見えてくるのではないでしょうか。
そう考えると、私たちを取り巻く自然とこころとは、やはりどこか繋がっている
気がしますね。
今日は「土」に焦点を当てて書きましたが、
本には「肥料・鉢」もよく知らなければならないと書かれていました。
このあたりも、“外的なこと”に置き換えて考えてみると、
なかなか示唆的な気もします。


コメント
コメント一覧 (6)
コメントありがとうございました。
〉「育てずに育てる」
素敵な言葉ですね。
そして、
〉「その植物がどんな種類でどんな子か」
お世話の仕方も、その植物の個性に合わせてあげないといけないのですね。
本来、植物は自生する力を持っているはずですが、人間がこちら側の環境に取り込む場合は、
その植物が本来居るべき環境を用意してあげなければならないのだという、当たり前のことを
改めて考えさせられました。
それにしても、美しい花や緑には、本当に癒されますね。
未だにガーデニングにはしっかりと取り組めていないのですが、何か良いアドバイスがあれば、
またぜひ教えてください。
私は、園芸関係を専門的に勉強していてカウンセリングを受けている者です。
最近夢分析に少しハマりましてここを見つけました。
少し前の記事ですがコメントさせてください。
写真はカリブラコアですね。素敵〜
私も植物と付き合っていると人間関係や人の成長、心にも言えるのでは、と思うことがよくあります。
だからといって実戦を積まないと成長出来る訳も無く(笑)
カウンセリングを受けつつ成長を目指してます。
一応は園芸の専門家としておせっかいかもしれませんがアドバイスさせてください。
まず私の植物に対するモットーと言いますかテーマは「育てずに育てる」です。
変な感じかもしれませんが、私は植物の生きる力をいかして元気で育つ事をメインにというスタンスです。
キレイな花で場を飾る事にも意識を向けつつですけれど(^_^;)
植物は人の手が入っていない世界のどこかで勝手に生えていた子孫です。
ですが、日本の環境、家々の環境で生きやすさは変わります。人間への依存度とも言えるかもしれません。
ですので、確かに土は大切ですが何より「その植物がどんな種類でどんな子か」よく見てあげてほしいです。
そうすればその子達にとってより良い土や水、つまりは環境がわかってくると思いますよ。
ちなみに女性は植物で場を飾る傾 向が強く、男性は育て咲かせる傾向が強いそうです。あくまで一般論ですが。
長文失礼しました。
私は今のところ、自分の中で、ユング以上に“実感”できるものが
まだ他には見つけられていないので、自分を実験台にしつつ、
これからももっと深めていきたいと思っています。
とはいえ、ユング以外にも視野を広げ(心理学のみならず)、
多方面から学んでいくつもりでもあります。
あくまでも関心の軸は「こころ」ですが、それに一番ピタッと来るのが、
今の私にとってはユングということになります。
僕は、学生時代から、ユングに興味を持ち続けつつ、クライン・ビオンのスーパー・ビジョンを受けたり、家族療法の研修にも通ったり…クライエントの話を聞いても、自分の夢に対しても、ユング的な考えばかりじゃなく、「気持ちだけ」のユング傾倒者です。
また、新しい記事が出たら…僕も、家でネットを開くのは月に数回ぐらいなので、そのうちですが、何かコメントできたらなと思います。
夢分析を受けておられる方とこうしてネットを通じて交流させていただく
ことができると、風変わりなこのブログの意味付けを自分に与えられる
ような気がして、嬉しく感じました。
教育分析を通じて、そしてそれ以前の体験も合わせ、
個人的には“確証”になっていますが、
それを現実にどう活かすかという点になりますと、
私も暗中模索の毎日です。
ブログの記事等、何かお気づきの点がありましたら、
これからもぜひコメントいただければと思います。
このブログを見つけ、
一部だけチョコッと読ませて貰いました。
実は、僕も夢の教育分析を10年以上
受けています。
総合病院の臨床心理士を30年近くやっている
56歳です。
夢に関心ありながら、実感からは遠く、
いったい自分が何をやっているのか暗中模索です。
すごく実感出来ておられるようで、羨ましい限りです。
これからも、チョコチョコ読ませて貰って
参考にしていけたらなと思っています。