happiness in nature /
Madalena Pestana


先日、コーチングを縁に知り合った方から、
「新年のご挨拶を兼ねて」と、
ご丁寧にお電話をいただきました。


昨年、初めてお会いしたときに、
ご自身がその時に抱えておられる心配事について
お話をお聞かせいただくことになり、
私がコーチの資格を持っていることを知ると、
「ぜひ、コーチングしてみてください」と、
その時、一度限りのコーチングをさせていただきました。

その内容は勿論、ここではお伝えできませんが、
数時間じっくりとお話をお聞かせいただいたのです。


その方は、お友達などには、ご自身の悩みを打ち明けたことがあるとのことでしたが、コーチングやカウンセリングを受けた経験はなかったとのことで、
話している途中に、
「あぁ、友だちに言うと、割と、
『こうしたらいいんじゃない』って
アドバイス的なことを言われることが多いけれど、
そのへんが(コーチングなどは)やはり違うんですね」
と、気づかれたように言われていました。


しかし、時間も迫ってきたのでそろそろ終わりに、
となったとき、最後に私にこう言われました。

「“コーチング”ではなく、あなたという一人の人間として、
どう思うか、意見を聞かせてくれませんか?」

私も、その時の二人の関係性を考え、
問題ないと思ったのでご要望にお応えして、
「これはあくまでも私見ですので、参考程度に受け止めてください」と言った上で、
自分の率直な考えをお伝えしました。


そして、お別れしたのですが、帰宅後にメールをいただき、
「最後の率直なご意見が、とても嬉しかったです」と、
書いてくださっていました。
(ちなみにその意見は、ご本人の選択に必ずしも添うものでは
なかったのですが・・・)


この件の他に、カウンセリングなどでも、
私自身の考えや意見を求められる場面が少なからずあります。


私は、一人ひとりのクライアントさんとの関係は、
とても個別的なものだと思っていますので、
その時の状況や、二人の関係性を考慮した上で、
誠実に自分自身の思いをお伝えすることもあります。

しかし本来、コーチングでもカウンセリングでも、
「答えはご本人が持っている」という前提で、
コーチやカウンセラー側の意見によって、
クライアントさんの自主性を阻むような関わり方は、
よくないとされています。


そして実際、「答えを持っているのはご本人」であることに、間違いはありません。
だからこそ、河合隼雄先生も、
「カウンセリングとは“何もしないことを一生懸命すること”」と言われています。
(そして、それを真の意味で行うことは、実はとても難しいのです)

ただ、迷っているご本人にとってみれば、
周囲の意見を聞いて、自分の考えがどうなのか、
その尺度を持ちたいという思いも、当然至極だと思います。

だからその方も、「コーチングってアドバイスしないんですね」と感心された反面、
最後には、“私自身”の意見を聞きたかったのでしょう




そうして年が明け、お電話をいただいたのですが、
その日、挨拶もそこそこに、明るい声でこう話し始められました。

「私、分かりました。
やっぱり、私自身が悩みを作っていたんだってことが。
私の考え方一つで、悩みを作ることも、無くすこともできるんだって。
要は、私の受け取り方次第ってことですよね。
あの時、お話した心配事それ自体は、あれから何の進展もありません。
でも、切り替えて考えられるようになったので、気分は楽になりました。」

とてもすがすがしいお声で、口早に受話器の向こうからこのように言われたのです。



私を始め、お友達など、周りの方たちにお話をされ、
色んな意見を聞いたうえで、
でも最後には、ご自身で納得できる一定の結論を出されたのです。

現実には何の変化がなくても、その事実に対する「受け取り方」を変えることができ、気分的には楽になられたのです。

そして、それはご自分で納得したからこそ、「変える」ことができたのではないのでしょうか。


また、このようにも言われました。


「生きている上で、悩みが出てくるのは、当たり前ですよね。
私の周りでも、傍から見ると幸せそうに見える方でも、実は色々と悩みを抱えているものです。
みんな、そうなのかもね・・・。
だったら、“そんなものだ”とふっ切ってしまった方が、気が楽ですものね。
やはりそう。悩みを作り出してしまうかは、自分次第。
どうしようもならないことで、あれこれ気をもんでもキリがないから、今は、為すがままで行きます。」


この日、思いがけなく頂いたお電話で、私自身が何より、とても温かいものをいただきました



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