前回の記事で、「ゲゲゲの女房」について書きましたが、
今日も引き続きです。

私が、水木しげるさんの奥さま“武良布枝さん”の自伝本、
『ゲゲゲの女房』を購入したのは、
テレビドラマを観始めて1週間も経たないうちでした。

そして、本が届くなり、一気に読み終えてしまいました。

それだけ、ドラマを始め、著書についても、
私にとっては、とても“響く”ものがあったのです。


それまでは正直、水木しげるさんについては全くと言っていいほど、知りませんでした。

数年前に、境港の「水木しげるロード」に行ったこともあるのですが、
これも、隠岐への旅行の帰りに、時間が余ったので立ち寄ったというのが実情でした。
(今更ながら、もっと興味を持って巡覧すれば良かったと、後悔しきりです・・・)


さて、前置きはこれぐらいにして、今日も『ゲゲゲの女房』の中からいくつか、
個人的に響いたものを、ご紹介したいと思います。


水木しげるさんは、ご存じのとおり、「戦争」を体験されています。

ラバウルに派兵され、水木さんが属していた部隊は全滅したそうです。


水木さんも、その戦時の中で左腕を失われたのですが、
しかし、生きて日本に戻ってくることができたのです。

奥様は自伝の中で、(それは)「奇跡」であると、書かれています。

そして、いまでも戦争の話になると、水木さんはこう言われるそうです。
「人間が生きているということは、自分の力以外にどんなものの力が作用しているか知れない。
自分の意思以外のさまざまな要素が自分を生かしてくれている。
軍隊生活でそれがわかった」


戦争を、体験では知らない私には、いくら想像しても絶対に理解しきれない、
その“凄まじさ”を、実際に通りぬけてこられた水木さんのこの言葉には、
芯のとおった重みを感じました。

想像を絶する状況と、人間の「負の部分」を、肌でもって体験され、
そして「死」に毎日直面しなければならない中で、
「自分の意思以外の力」を感じられたのですから、
それは本物だと、私には思えました。


また、戦争中、いつ兵に自分の身がとられるようになるか分からないと思った頃、
死を強く意識し、哲学書をむさぼり読むようになったそうです。

そして、“ゲーテ”に傾倒し、「聖書」や「仏教の本」も愛読されたそうです。


(“ゲーテ”といえば「ファウスト」ですが、ユングも非常に興味を持って、
ファウストを心理学的に解釈しています。
また、あの手塚治虫さんも「ファウスト」には心酔しておられたそうで、
関連した漫画も描かれているそうです。
そして、私は拝読したことはないのですが、水木さんの漫画「悪魔くん」にも、
“ファウスト”も“メフィスト”も登場するそうです)

私には、水木さんのこのような経験全てが、「目に見えないもの」に対する姿勢を
形作られたのではないかと、感じられました。




また、著書の中には、奥様がこのように書かれている箇所もありました。
「つまるところ、妖怪とは人の心の中にいる」
と、(水木さんは)自著の中でさらりと書いているのですから。


水木しげるさんは、何か「目に見えないものに“実際に”通じているのでは?」と、
思わずそんな印象を受けました。


ユングも、小人を“見た”らしいですし、他にも色々と不思議な体験をしています。

そして、それらの現象を、「自分の内側のこころの世界」と結び付けて考察しました。


そういった、ユングの思想にも通じるような、ご自分の深いところとのパイプを、
水木しげるさんも(もしかしたら)持っていらっしゃるのかもしれません・・・。


「自分の内側につながる」

私はいつも思っているのですが、このパイプを持つことが出来れば、
“生き抜く強さ”みたいなものが与えられます。

そして、色々とおもしろい体験もできそうです・・・。



それにしても、

「自分の意思以外のさまざまな要素が自分を生かしてくれている」

このように心底思えるようになれば、多分、生きることがとても楽になることは
間違いないと思うのです。


※今日の記事で、水木しげるさんについて述べた私の思いは、
  あくまでも私見です。
  もちろんですが、水木しげるさんの真意は全く存じ上げませんので、
   ご留意ください。



          
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