ゲゲゲの女房ゲゲゲの女房
著者:武良布枝
販売元:実業之日本社
発売日:2008-03-07
おすすめ度:4.5
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「ゲゲゲの女房」とは、ご存じのとおり、
今、NHKの朝の連続テレビ小説で放映されているドラマのタイトルです。

私は2週間ほど前から、あることがきっかけで(これも私の“無意識とのつながり”が関係しています)
観始めたのですが、今ではこの15分間のドラマを視聴することが、
毎日のささやかな楽しみになっています。
(連続ドラマを欠かさず観ようとするなんて何年ぶり


水木しげるさんと言えば、「ゲゲゲの鬼太郎」ですが、
このTVアニメが、ちょうど私が子どもの頃に放映されていました。
(時期的にこれは多分、“第2シリーズ”の、しかも再放送だったのかもしれません)

でも当時は、やはりその“雰囲気自体”がとても怖くて、結局は観れなかったことを覚えています。

子どもの敏感な感受性には、訴えかけてくるものが大きかったのかもしれません。


そして実際、妖怪ものの「ゲゲゲの鬼太郎」をTVアニメ化するまでには、
大変なご苦労があったのだと、この度ドラマを通じて知り、
自分の子供時代を思い出しながら、感じ入るところがありました。

ドラマ内でも表現されていましたが、マンガがなかなか売れず、どん底の貧乏を経験される中でも、
水木しげるさんは、漫画家としてのその強烈な「個性」を最後まで捨てずに、
信念を持って仕事に取り組み続けていました。 

そして、その時は来ます。
漫画家として世間から認められ、その後大成していく、「来るべき時が来た!」のです。
(「来るべき時が来た!」はドラマと原作本のサブタイトルにも使われている言葉です)

1965年、講談社児童漫画賞という権威のある賞を受賞したことがきっかけで、
その後、どんどん仕事の話が入り始め、誰もが知る漫画家の巨匠になっていったのです。


そういえば、「アンパンマン」の原作者の、“やなせたかし”さんも、
漫画家として大成されたのは晩年に入られてからですが、
何かでこのように言われていたのを聞いたことがあります。


私が漫画家として世に認められたのは、70に入ろうかという頃です。

それまでは色々とやりました。
よく、『成功の秘訣は?』と聞かれることも多くなりましたが、
その時出来ることを、ただただ一生懸命やる。
私はそうしていましたし、それでいいんだと思います。
時期が来れば、自然とうまくいくようになります。




水木しげるさんは、後年、
「なまけ者になりなさい!」「がんばるなかれ!」「のんきに暮らしなさい」
というようになったそうです。

でも始めは、その言葉を「おかしい」と奥様は思われていたそうです。


水木は、なまけ者どころか、誰よりも一生懸命生きている人だからです。

誰よりも働き、誰よりも努力してきた人だと思います。

                                   『ゲゲゲの女房』

しかし後には、

(水木しげるさんは)人が本来持っている生きるための知恵や本能みたいなものを
働かせたからこそ、生き抜いてこられたわけです。
「現代人も、そうした『生きる力』を取り戻すべきだ」と水木は伝えたいのでしょう。

と、水木さんが言われる言葉の意味が、なんとなくわかったような気がしてきたということです。




そして、著書のあとがきにはこのようにも書かれていました。

(奥様は)「すべてを受け入れる」だけの人生でした。
あの洗うがごとき赤貧の日々も、たしかに辛かったけれど、私は不幸ではありませんでした。
もちろん、惨めだったこと、寂しかったこと、いまも納得できない理不尽なことが、
数え上げればキリがないほどにあります。
(中略)
人生の入り口での状態は、といえば、水木も私も、お世辞にも、幸運だったとはいえないでしょう。
でも、「いろいろなことがあったけれど、幸せだ」と素直にいえるのは、
「水木が自分自身を信じ続け、私も水木を信じ続けてきた」からだと思います。
自分が選んだ道をひたむきに生きていれば、
「来たるべきときが必ず来る」
とふたりとも信じていたのです。



ユングも、

「あるがままに対して、無条件にyesということ」
「自分の運命にyesということがどれほど大切か」

と言っています。


自分が今置かれている状況を受け入れられない。
(自分の力で)どうにかしようとするけれど、どうにもならないことを、納得できない。

このような葛藤を抱え続けるからこそ、延々と悩みが続きます。

そしていつしか、悩み続けることに心が悲鳴を上げ、
様々な症状が表面化してくることにもなりかねないのです。


「今この受け入れがたい状況に、苦しんでいる自分がいるんだな」

と、その苦しんでいる自分を客観的に受け入れられるようになれば、
心の病にかかることはなくなります。


水木しげるさんも奥様も、
「全てを受け入れ、自分を信じ続けられた」からこそ、
苦労の時代にも、自らを見失うことなく、その時を乗り越えられたのではないのでしょうか。


今日のブログの冒頭にご紹介した著書。

水木しげるさんの奥様である“武良布枝さん”が書かれた、
この、ドラマ『ゲゲゲの女房』の原案本には、実話に基づいた心に響く言葉が沢山ありました。


最後に、水木しげるさんが「オレの生き方の礎になっている」と語られた“ゲーテ”の言葉を。

「精神の意思の力で成功しないような場合には、好機の到来を待つほかない」

(これも、著書に、そしてTVドラマ内でも取り上げられていた言葉です)


自分の運命を受け入れられるようになれば、心に平安が戻ってくるはずです。



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