
sun cross
ユングが打ち立てた理論である、
「タイプ論」は有名です。
人間には異なる二つの一般的態度があるとして分類したのが、
「内向」と「外向」。
そして、各個人がそれぞれ最も得意とする心理機能をもっているとして区別したのが、「こころの4機能」です。
この“こころの4機能”とは、
「思考・感情・直観・感覚」
の4つの心理機能で、私たち一人一人のこころには、
すべての基本機能が要素として備わっています。
そして、以上の4機能のうち、
「思考⇔感情」は合理的機能(事象に何らかの判断を下す)、
「直観⇔感覚」は非合理的機能(事象を“そのまま”自分の内に受け取る)
と呼ばれています。
※このタイプ論については、ユング心理学についてのいくつもの著作で説明されていますので、まだご存じない方で興味のある方は、ぜひそれらの著書を読んでいただければ、理解が深まると思います。
さて、私自身のことですが、このタイプ分けについて、
分析家とのセッションで取り上げたことがあります。
そして、「思考と直観」が主機能のようだという話になりました。
(ちなみに、この時は、どちらが優勢機能でどちらが次いで発達している補助機能かという判断にまでは至りませんでした。
実際、この4機能をどんな割合でもっているかは人によって違うので、
明確に区別できない場合もあります。
ユングのタイプについても、研究者によって意見が分かれているぐらいです。)
確かに私は、考え込んだり、物事を“頭”で処理しようとしてしまうことが多いので、
「思考」が、優越機能(=意識の構え)であると、自分でも納得できます。
ということは、その対極にある「感情」は劣等機能(=無意識の構え )
であり、簡単に言ってしまえば、私の短所であるといえます。
分析を受け始めてから見た夢でも、一度“ひどく怒っている私”が登場しました。
そしてセッションを受けたときに、
「あそこまでひどく(夢の共演者を)責めなくてもと・・・。
ちょっと(意識の私では)理解できない、ひどい怒り方でした。」
という感想を述べたのですが、
いつまでも夢の中の、その“憤怒した私”を嫌悪し、理解できないままではいけないのだと、今では思えるようになりました。
他に、“夢ではない”場面でも、関連した内容について、
無意識からメッセージを受け取った(と私は感じた)ことがあります。
それは“もっと怒れよ”というものでした。
個人的なことなので、抽象的な表現になってしまいましたが、
とにかく、意識の主機能ばかりが一面的に伸びてしまうと、
その逆の無意識にある劣等機能は抑圧がきかなくなり、時として暴走してしまうことがあります。
(意識の態度に対して、無意識は補償的に働きます)
こうなると、突発的に何か事件を起こしてしまったり、神経症になったりと、
受け入れがたい事態に及ぶ可能性もあるのです。
だから大切なのは、自分の劣等機能をうまく受け入れ、鍛えなければいけないんですね。
河合隼雄先生はこのように言われています。
たんなる無意識からの反応として劣等機能を暴走させるばかりでなく、
それらを正面から取り上げて生きてゆくことに心がけると、
少しずつではあるが発展の道を歩むことができるだろう。
さて、トップにある「太陽十字」のマークは、
“こころの4機能”を表すために、適当なものを探していて見つけたものです。
(本当は“十”にそれぞれの機能を書き込んだ図を作成したかったのですが、
私の技術不足で断念しました・・・)
この4機能の全体の輪自体を大きくしていくことも課題の一つです。
例えば、Aさんの輪より、Bさんの輪の方が大きければ、
Aさんの優越機能の値よりも、Bさんの劣等機能の値のほうが高いということです。
ユングは“タイプ論”の中で、本来持っている4つの心理機能をすべて使えるようにすることが、「自己実現」に至る道であると述べています。
河合隼雄先生も、
「要するに“あれもこれも”なのです」
と何かで書かれていたように思いますが、
私たちは色んなものをバランスよく取り込みつつ、
「心の全体性」へと近づいていくことで成長することができる。
そういう存在なのですね。
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コメント
コメント一覧 (4)
コメントへのお返事が遅くなりまして申し訳ありませんでした。
これまでの私のユング論理解をリフレッシュする心持ちで、侑里さんのブログ拝読しています。
これからも楽しみにしています。
はい、そのような意味で書きました。
“例えば、Aさんの輪より、Bさんの輪の方が大きければ、
Aさんの優越機能の値よりも、Bさんの劣等機能の値のほうが高い”
というのは、Bさんの劣等機能(例えば感情)の発達・発展度合は、
Aさんの優越機能(例えば感情)よりも高い、
という解釈でよろしいのでしょうか?