Thailand National Flag /
Dennis Wong


7月に夢分析についての記事を書いてから、「何か良い事例を・・・」と、

頭のどこかで考えながら日々に追われるうちに、瞬く間に9月も半ばとなってしまいました。

ということで今日は、私が分析を受け始めた初期の、ある夢について書いてみたいと思います。


ユング心理学について、体験と学びを続ける中で、

自分の夢を公にすることの意味についての理解が深まるほど、

“実行”への勇気が必要にはなってきましたが、今日取り上げる夢については、

今の私にとっても、改めて自身への自覚を促すことになる気がしています。

そして何より、夢分析に興味のある方にとっては、

面白い事例のひとつになるのではないかとも思われます。



*****

(前略)

するとそこで、○○の小学生時代の友達Aに会った。

(中略)

その後、(Aに)「私はこれからタイで国際交流の新しい仕事を立ち上げようと思ってるんだけど、
手伝ってくれない?」と言われ、

「私も実は今から新しい仕事をしようと思ってるんだけど、あなたの仕事にも興味があるから、
是非手伝わせて」と(私は)答えた。

ただ、「タイか。もしタイに行かなければならないのなら無理かな。
日本にいて手伝えることがあればいいんだけど」と、(私は)考えていた。

*****


当時(もう数年前)、この夢については分析家の佳代先生とは扱いませんでした。

セッション時には、他の夢について話し合ったため、この夢を取り扱う時間がなかったからです。

だから、その時の私は、「何で“タイ”が出てきたんだろう?」ぐらいにしか思ってなかったのです。

そして、それから大分時が経ったある時期、自分の夢日誌を読み返していた中で、この夢に目を通し、

ふと、「タイは “対”?」とひらめいたのです。

そしてすぐに、「“タイアップ”(のタイ?)」という言葉も頭に浮かんできました。

そう考え始めると、この夢の意味が、自分なりに“しっくりと”理解が出来たのです。


まず、多くの人に共通するパターンとして、

夢に出てくる「外国」は、しばしば「無意識」を象徴しています。

日本は海に囲まれていますが、この海自体、以前のブログにも書いたとおり、

無意識の象徴として、夢やイメージにはよく登場します。

(海、湖、川、泉・・・など、“水”自体が、そもそも無意識を表す事例が多いのです。

ちなみに私の夢では、無意識を表すイメージで「洗濯機」が登場してきたこともあります。)

だから、日本から見た外国とは、海を隔てた向こうの世界、「無意識」の領域というわけです。


外国である「タイ」で、「国際交流の新しい仕事を立ちあげるから手伝ってくれない?」というのは、

「こちら(無意識)はその用意が出来ているよ。

これから、自我と無意識で、対(タイ)しながら、タイアップ(協力)しながら、

こころ全体に関するワーク(国際交流)をしていかないか?」という、

無意識から私(自我)へのメッセージだったのではと、そう解釈できたのです。

なんだか自分なりにストンと腑に落ちたのです。


ここで、補足の意味で書き添えますが、ユング心理学でいうところの個性化とは、

「無意識と意識を含めた心の全体性の実現を目指す」 そのプロセスのことを意味します。

そして、ユング派の教育分析(夢分析)を受けるということは、言ってみれば、

この個性化への道を差すわけですから、今日ご紹介した【タイの夢】は、

分析を受け始めたばかりの当時の私の現実と、やはりリンクしているような気がします。


さて、そのように無意識が投げかけてくれたメッセージに対して、夢の中の私は、

「あなたの仕事にも興味があるから、是非手伝わせて」 と、受け入れていました。

「自分で気づけていない心の領域でも、それなりに、一定の心構えができていたのかな」と、

Yesと答えられていた自分に、後からではありますが少しホッとしました。

ちなみにその前に、「私も実は今から新しい仕事をしようと思ってるんだけど」と、

夢では語っていましたが、この部分は、自我の私の状態を表していたと思います。

現実にその当時、私は新しい事を始めようと考えていました。

このあたりは、現実と内的な部分が混じり合って、夢で表現されていたようです。


そして最後の部分。

夢の中の私はあくまでも日本に留まり、タイに渡るつもりは全くありませんでした。

ここも当時の私の現実が反映されていたのですが、まだ小さく手がかかる双子を抱えていながら、

とてもタイまで行くなんて無理だと、夢では思っていたのです。

友人A(無意識)に Yes とは言ったものの、タイに行く気は全くなかったのです。

このあたり、良いように解釈すれば、

「自我の私の立場をきちんと守りつつ、でも、お手伝いはしますよ。」

と、協力はするけど、無意識に完全に飛び込んでいくような無謀なことはしないという、

慎重さを保てていたのかとも思われます。

また一方の見方では、

「お手伝いしますよ、と言いつつも、まだその仕事を本気でやっていく覚悟が出来ていない。」

とも取れます。

まだまだ、自我(日本)を手放す気にはなっていない。海の向こうの世界のことを本気で考えていない。

ということだったのかもしれません。

確かに今振り返ると、その時はまだ、夢(無意識)に目を向けるということがどういうことなのか、

よく自覚していなかったような気がします。

数年分析を受けてきた今では、無意識に向き合うためには、

決意というか、覚悟というか、とにかく「本気」にならなければいけない。

無意識とはそれだけの存在であり、生半可な気持ちで対峙できるような相手ではないし、

畏敬の念を持って臨むべきだと強く感じていますが、

分析を受け始めたころは、まだそんな気持ちもなく、どこかフワフワしていたと思います。

(そう、だから後になって、「タイ」の意味が分かったのかもしれません。

「対決」のタイだとも思ったのです。

無意識との関係は、“お手々つないで仲良く”というような雰囲気でもないわけですから)


最後に、無意識のメッセージとして表れた友人Aですが、彼女は小学生時代の実在の人物でした。

なぜ、小学生時代の友人なのか、このへんも自分なりには思うところがあるのですが、

そこはとても簡単には説明しきれない個人的な背景なので省くとして、

でも、何人もいるクラスメートの中で、Aが出てきたことにもどうもきちんと意味があったようです。

Aとは決して仲良しだったわけではなく、どちらかというと自分とは合わないタイプで、

小学生時代、ほとんど接点のないただのクラスメートという間柄でした。

私から見ると、彼女は何を考えているのか分からないというイメージで、

自分とはかなり違うキャラクターだったのですが、

ではなぜ、密に接していた仲良しの友人たちではなく、Aが夢に出てきたのか。


「分からない」相手であるAだからこそ、

「これから一緒に新しい仕事をやっていこう」と、その姿を借りて登場してきたのだと思います。

無意識にある自分の未知な部分。

そこを理解して統合していくことこそ、自分がこれからやっていくべき、

「国際交流」という表現で示された、私の“こころ”という全世界を扱う仕事であり、

それまで距離のあったAとも親しくなっていかなければならない、

そんな相手として彼女が出てきたのだと自分なりに納得が出来ました。


以上、私が自分の【タイの夢】について、ざっと大まかに解釈した内容です。

文章にするとたった数行の夢でも、これだけ様々な意味を含んでいる。

「夢」(無意識からのメッセージ)とはそういうものだと、つくづく頭が下がる思いがします。

ただし、この夢の意味を捉えた背景には、他の夢との関連やその後の現実の自分の状況なども、

かなり影響しています。

夢の意味を理解するには、その一連の流れを始め外的な事柄、

そして何よりその人自身のバックグラウンドなどなど、

色んな要素を加味して探っていかなければ、到底分かるものではないと思います。

稀に、単発的に夢が何かを語っていたと思われることもありますが、

少なくとも私の経験では、それは集合的な事象についてでした。


今日の夢分析の内容については、私が今までに分析を受けた経験から、

自分の夢について自由に解釈したものです。

自身の分析家である藤南佳代先生にお聞きすれば、もっと深い解釈をいただけるだろうと思います。

夢というものは、自分一人で理解するには限界がありますし、場合によっては危険さえ伴います。

でもそんな一筋縄ではいかない相手だからこそ、そこに向き合う意味は大きいと思うのです。

現実的にも、意味の「効果」は実感しているんですよ・・・。


それにしても、「タイ」が“対”とか“タイアップ”だなんて・・・。

そう思われた方もいるかもしれません。

でも意外と夢って、このような「言葉遊び」的な表現で、色々と教えてくれていると思います。

なかなか、ユーモアがあって素敵だと思いませんか?

「すごいなー。こんな表現で伝えてくれるんだ。」と思わず感心してしまうこと、少なくはないんですよ。



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